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Suguru ito

​Suisse based pianist • fortepianist


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ピアノ奏法の断片

13/3/2020

 
Picture
Grand Piano Erard (1915)|Photo ©︎ FAE

​序
手の大きさやらなにやら、そういうことはどうでもいい。ここだけの話、小さいほうが便利なんだが、ま、しなやかな手であればそれに越したことはない。

何よりも肝腎要は、歌うことが好きであること。鼻唄でも口笛でも良い。歌える者には楽器を授けて間違いない。

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​ピアノ
ピアノは出来る限り柔らかく調整された楽器が好ましい。鍵盤が重く打鍵の硬いものは指にとっては拷問以外の何ものでもない。名器と呼ばれるものは、息を吹きかけただけで鍵盤が下りてくれるような楽器のことをいうのだから。

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座して名人
まず椅子に腰掛ける稽古から。腹は暖かくないとだめ。ピアノと身体との正しい距離は思いのほか重要となる。近づき過ぎず、離れ過ぎず。腰は常に一大事。腰から首までの線は、ちょうど立っているときと同じに。両足は踵からきちんと床に着いていること。肘と鍵盤がほぼ一直線になるくらいがいい。肘が鍵盤より低めに座る者もいるだろう。人それぞれ身体の造りが異なっている点を忘れぬよう。

立派に座れぬ者、一音たりとも弾くべからず。

さあ、座れるようになったら、そろそろ手を鍵盤の上に置いて、表面をそっと愛撫してごらん。

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落下練習
最初に親指と小指で二つの音を同時に鳴らしてみよう。インターヴァルでいうところの五度 (または四度) が一番適している。

鍵盤の上で直線上に用意された親指と小指が垂直に立つよう、手首を引き上げる。親指と小指はこのとき、指先が必ず鍵盤の表面に触れていること。手は手首によって引き上げられているとはいえ、中身は弛緩している。肘を張ったり、肩を上げたりしてはならない。腕の感覚は歩いているときのそれに等しい。

用意周到なら、手首を鍵盤に向かって落とす。原理は、スピーディに落下すれば響く音は forte。ゆっくりと落下すれば piano。forte の場合でも音質は決して暴力的ではない。どうか朗々として豊潤な forte を!

この練習、手首と手の用意からその後に続く落下 (=着地) に至るまで、じっくりと日数をかけて行なう必要がある。五度の二和音が鳴った瞬時に手首も含め手全体が脱力していることを確認せよ。このときの手の心境、鍵盤上に寝ているが如し。

これが楽にできるようになったら、そのあとは一本一本の指をやはり同じように手首を使って落下させる。

これまでの鍛錬に要する時間は大抵、2ヵ月から3ヵ月であろう。一音弾いたあと、指 • 手首 • 腕、そして上半身に至るまで完全に力が抜けている感覚を培うことは、ピアノを弾く上でもっとも大切なことなのだ。

一音を弾くこと、それは解放である。

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音階
巻貝や螺旋階段の形状は、ピアノでスケールを奏でる際の手の構えと一致するし、鉛筆や箸の持ち方に結びつく。スケールのとき手は真っ平らではなく、ゆるく握られた傾斜状態にあり、重心は小指側になければならない。あとは「こちょこちょする」ように指先の第一関節が動くこと必須。
(続く)

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